大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡高等裁判所 昭和27年(う)2815号 判決

所論は原判決は被告人が公衆衛生上及び公衆道徳上有害な業務につかせる目的で十一回に亘り特殊料亭営業者八ツ峰榮太郎外四名に対し、T外八名の婦女を従業婦として雇傭の斡旋したとの事実を認定し右十一回の紹介行為は各別に夫々職業安定法第六三条第二号に該当するものとし併合罪の規定を適用処断している。しかし同条同号に職業紹介の外、労働者の募集、同供給の如き社会通念上当然多数の相手方を予想さるる行為をも並記してあるところからして本件の場合の如く数人を紹介した場合においても包括一罪の成立があるだけであつて併合罪の規定を適用すべきではないと云うに帰する。

しかしながら職業安定法が職業紹介なる字句の外職業紹介事業なる字句をも使用し両行為を区別している(労働者の募集、供給に付いても同じ)ところからしても職業安定法第六三条所定の職業紹介、労働者の募集、同供給とは各一回の紹介行為、募集行為、供給行為を指すもの(勿論行為にして一個である以上被紹介者、応募者、被供給者が一人であると多数であるとを問はない)であり従つて同条の罪は紹介罪の場合たると募集罪の場合たると供給罪の場合たるとを問わず各一個の行為毎に一個の犯罪の成立あるものと解するを相当とする。

しからば原判決が前記のように十一個の紹介罪の成立を認め併合罪の規定を適用したのは素より正当であつて論旨は理由がない。

(後略)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!